これ、あんまり詳しい情報ないでしょ?古今東西、怪獣文学で編んだ本。
(−_−)

ポオから、曲亭馬琴、【古事記】から古代中国の【山海経】に至る、27もの『怪獣』に関する文学、が集まってる。


◆『大鳥』柴田宵曲
◆『大魚』柴田宵曲
◆『東京日記(その一)』内田百聞
◆『スフィンクス』ポオ、丸谷才一 訳
◆『怪獣三題』江戸時代随筆、須永朝彦 訳
◆『巨人』グーゼンベルグ
◆『禍獣』曲亭馬琴「椿説弓張月」須永朝彦 訳
◆『スキュレとカリュブディス』ホメロス「オデュッセイア」松平千秋 訳
◆『ロッホ・ネスの怪物』吉田健一
◆『海外北経』「山海経」高馬三良 訳
◆『聖アントワヌと怪獣たち』フロベール「聖アントワヌの誘惑」渡辺一夫 訳
◆『「長角獣」の伝説』アストゥリアス 牛島信明 訳
◆『鵺』「謡曲」須永朝彦 訳

◆『青銅の巨人タロス』アポロニオス「アルゴナウティカ」 岡道男 訳

メディアはひざまずき、三度呪文を唱え、三度祈りを捧げて
かれらをよんだ。それから邪悪な心を胸におき、
敵意に満ちた瞳で青銅人タロスの目を魅惑した。
そして歯ぎしりしながらかれにすさまじい怒りを向け、
猛り立って目に見えぬ幻を放った。
父なるゼウスよ、まことに大きな驚異がわたしの胸をゆさぶる、
もしみじめな死が病や傷から来るばかりでなく、
遠くからでもわれわれを襲うことがあるなら───
かれは青銅人であったけれど、
魔法にたけたメディアの力に屈して倒れたように。
かれは船泊りに近寄せまいとして重い岩を引き起こしたとき、
岩の尖った先がくるぶしをかすった。
すると体液が溶けた鉛のように噴き出し、もはや長いあいだ、
突き出た岩山の上に乗って立つことができなかった。


◆『岩に繋れしアンジェリカ』アリオスト「恋に狂ひしオルランド」西本晃二 訳

◆『八俣の大蛇』「古事記」須永朝彦 訳

「その大蛇の形は如何に」問い給うと、「その目は赤加賀智(酸漿)の如く赤く、胴は一つにて八つの頭と八つの尾を具えておりまする。また、その身には苔が生え纏わりの檜や杉の類が生い立ち、その丈は八谷八尾(八つの谷と八つの峰の間)に及び、その腹を見れば常に血が滲み爛れておりまする」と答え申した。(中略)
命(みこと)の仰せのままに二人の者が用意を設けて待っていると、かの八俣の大蛇が本当に現れ来たった。乃ち八つの酒船に銘々の頭を垂れ入れ、その酒を飲み、軈て酔い伏して寝入ってしまった。ここに、須佐之男命は、佩き給うた十拳剣(とつかつるぎ、長剣)を抜き、件の大蛇を寸々に切り散らし給うた。


◆『竜退治』ブッツァーティー、脇功 訳
◆『秘密』安岡章太郎
◆『凱旋祭』泉鏡花
◆『怪物』ジェラール・クラン、清水茂 訳
◆『キングコング』北杜夫
◆『その後のキング・コング』ホセ・ファーマー、倉阪鬼一郎 訳
◆『「ゴジラ」の来る夜」武田泰淳
◆『幻獣想』菊地秀行
◆『マタンゴを喰ったな』橋本治
◆『更にマタンゴを喰ったな』橋本治
◆『怪獣ウワキンの登場』小松左京

ご参考までに。
(^_^)


面白いよね、日本語って。古い言葉も漢字の使い方も、それ一文字一語にニュアンスが感じられて…
『鵺』や『大蛇(オロチ)』なんて、本当そのまま ぬえーっ!おろちっ!って感じしない?

『命(みこと)』って読み方なんて大好き、すごくカッコいい。
(^ー^)ノ

引用は、どちらも映画なんかで見たシーンに忠実に文章で表現されてるんだな、と思ったよね、

タロスなら『アルゴ探検隊の大冒険』('63/英)、八俣の大蛇なら『日本誕生』('59/東宝)に、そのままのシーンが出てくるから。つーか、再現したんだよね、しっかり。

ゴジラばかりじゃなく、こーした文献に出てくる怪獣達もやっぱりおどろおどろしくて楽しいよ、文章、言葉、文字、てのは何しろ想像力を掻き立てる。

オススメはしないけど、ちょっと知りたかった皆さんの為にご紹介してみました。

結構するよ、この本。

興味と余裕がある方は暇な時にでも。
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('12/2・18) 記事より再録



※ 引用。