基本、スターウォーズ大好き!って友達は居ない。
(-。-;

一緒にテレビを…映画でも、観るなら、スタートレック(ST) や、ドクター・フー(DW) なんかを真剣に観てくれる、意見言ってくれる人、がやっぱ好きだわ。
U・x・U

俺も、好きから脱しない程度 以上には詳しくはないから、ウンチクとかはどーでもよくて、感受性豊かに泣いたり、感動したり、笑ったりしながら接してくれる、そーいう人にいつも惹かれる。
d(^_^o)

STや、DWには、そんな人情みたいなのが、そうね…歌みたいな、メロディみたいなのが一杯詰まってると思うから、SWに派手さでは劣るけど…
v(^_^v)

そんな感じで、大好きなドクター・フー・シリーズから【ダレク族の逆襲!】(S58/テランス・ディックス著、関口幸男 訳/ハヤカワ文庫SF) を読んでみる。

ドクター・フーはご存知?英BBCで1963年からやってる超!長寿SFドラマシリーズ。途中何度か空いてるけど。

俺、高野十座がしっかり観たのは最新の'05からのシリーズだね、NHKの放送でハマった。
\(//∇//)\

ま、旧シリーズを観たくても、英のテレビドラマでまずソフトが無かったし、日本じゃ馴染み薄かったからね、DW。

一、二本?旧い、NHKで放送された録画を観たことがある、くらいだろうか…

それが、'05〜からのシリーズで、B・バイパー演じるローズ・タイラー!を見た瞬間、この女優さんが好くて好くて…

あ!ローズ決して美人じゃないし、どちらかというと、短足ずん胴、下膨れな見てくれ、TV的には時代に逆行してる様な気がしないでもないんだけど…

逆にだから惹かれた、つーか、親近感覚えたよね、近所の、挨拶しっかり笑顔で出来るお姉さん、て感じがさ…

'05 DW#9『空っぽの少年』なんて、TNG#35『人間の条件』と並ぶ屈指の名作だから(俺的に)。

で、【ダレク族の逆襲!】。
ダレク(ドラマ中ではダーレク)族は、ドクターのシリーズ通しての悪役。

そうね、STなら"クリンゴン"、TNGなら"ボーグ"、仕事人なら悪代官、寅さんなら世間体、ってことたろーか?つまり宿敵!だよね。


まったくなにもおいてないせまい部屋で、一端に斜路があった。しばらくすると、壁にセットされたもうひとつのパネルドアがするすると開いて、きらめく金属物体がすべるようにして出てきた。眼茎がぐるりとまわって統制官のほうをむいた。統制官はうやうやしくお辞儀をした。ようするにこいつは、二十二世紀の惑星地球に君臨する絶対的支配者のひとり、〈黒いダレク〉だったのだ。
〈黒いダレク〉は、金属の軋むような声でいった。「報告せよ!」


この小説に登場する、ダレク、そしてこの物語の主役、ドクターの初登場シーン。


…片隅には、およそ研究室には場ちがいな旧式の警察専用電話ボックスにそっくりの青塗りの箱が立っていた。とつぜん、その箱が断末魔の苦しみにもだえるけものの唸る声のような音をあげはじめた。そして、研究室全体を揺るがすほどの激しさで震動しだしたのだ。レトルトや試験官がガチャガチャ鳴った。唸り音が最高潮にたっし、バンという大きな音がした。警察専用電話ボックスの扉がバッと開き、長身痩躯のひとりの男が煙に包まれてとびだしてきた。かれは、扉を叩きつけるようにして閉じると、不明瞭な火星の方言でポンポンと毒づいた。


TVドラマの最新シリーズしか馴染みがないんだけど、ドクターは、皆、30代半ばくらいのスタイリッシュでおしゃれな外観。初期のドクターはいかにも博士博士してたみたい。

物語は、ダレクに支配された地球の未来を変えるため、鍵を握る政治家の暗殺、って事らしい。そこにドクターが関与している、そんな話。


〈黒いダレク〉は、ゆるゆると方向を転じ、スクリーン上をはしるかすかな信号波のほうへ眼茎をむけた。ダレクは、きしむような声で言った。「時間移送器を操作するものは、ダレク族の的だ。彼らは絶滅しなければならない」その声がふたたび、ほとんど絶叫にまで高まった。「やつらを殺せ!始末せよ!皆殺しにせよ!」


そして紆余曲折、ドクターの助手(ドクターは歴代、魅力的な仲間(特に女性)のパートナーと旅をする)、ジョーが、偶然から未来の、ダレクの支配する時間軸に囚われてしまう。


そのとき、背後からブンブンいう奇妙な音がきこえてきた。かれは、くるりとむきなおった。闇の中に円形の一種の輝きのようなものがあらわれていた。不気味な光を発している。その円形の中に、ひとつの形がととのいはじめた。ドクターが知りすぎるほどよく知っていた形、不倶戴天の敵の姿だった。トンネルの中に、ダレクが一体、実体化しつつあったのだ。


ジョーを欺き、情報を得たダレクは〈時間渦流〉を遡り、自ら タイムマシンを操る者の抹殺に乗り出す。


ドクターがいるのを感じとりでもしたように、ダレクが口を切った。ききなれていた、きしむような金属的な声でいった。「とまれ!おまえたちはみな、ダレク一族の敵だ。降伏せよ、さもないと、皆殺しにするぞ!」ダレクは、トンネルをかれのほうへすべるようにして近づいてきた。


ドクターはかろうじてダレクの魔の手から逃れ、未来へと、ジョーの探索に乗り出す。


〈黒いダレク〉の声がほとんど金切り声にまで高まった───
「ちょっと待て!ドクーター?ドクーターといったな?」
統制官は、相手のこの意外な反応ぶりにびっくりした。"ドクター"という単語がきしむような声で二音節にわけて発音されていた。ダレクの語調には憎悪すら感じとれた。
〈黄金のダレク〉が口をはさんだ。ドクターの名前を発音するのに、同様に厳しい悪意がこめられていた。「ドクーターとして知られているやつは人間ではない。やつは、ダレク族の不倶戴天の敵だ。ただちに発見して、殺してしまわなければならない」


最新TVシリーズでも、ダーレクはドクターの名前を聞いただけで、パニックになって大騒ぎしてた。そして〈黄金のダレク〉はダレク族の最高権力者、なんだそうだ。


ドクターはいった。「あんたが役立つかぎり、生かしておいてくれるだろう」
統制官はカッとしていった。「わたしは、政府の一高官ですよ!」
「あんたは奴隷だ」と、ドクターはあっさりいってのけた。「同胞である奴隷たちを抑圧する手助けをして、そのみかえりにわずかな特権を認めてもらっておる情けない奴隷だ」


…抑圧を手助けし、その見返りに、わずかな特権を認めてもらってるだけの、情けない奴隷…

心に突き刺さる言葉。

人の本質を文章にしたかの様。その場所にしがみついて、特別な階級面したいやつの多い事。そいつらにそんな面させる為にやってるわけじゃない。ドクターもハッキリ言います。


統制官は、自己弁護しようとした。「わたしはこれまで、いまの自分の地位を利用して他の人人をずいぶん助けてきましたよ。何度もダレクたちを譲歩させましたし、人の生命を救ったことも一度や二度ではありません」
「ダレクとの戦いを指導することにあんたのその能力を利用しとれば、もっと助けになったんではあるまいかな?」と、ドクターはいった。
統制官は、溜息をついた。「いや、それは絶望的です……ダレクを相手に戦える人間はいません」
「ゲリラたちは、そうは思っとらんがね」


初っから出来ないと諦めて、それでも、自分を大きく見せようという努力!だけは欠かさない。ダレクだったり、好く見て欲しい相手の為だけに。何という小ささ!!

この統制官、俺の知ってる奴じゃないのか?


不意にドクターは立ちどまった。もうひとりのゲリラであるもモニが、銃をかまえて統制官を撃とうとしていたのだ。「きさまのようなやつは……」と、かれはいっていた。
統制官は微動だにせずに立ちつくし、撃たれるのを待っていた。ドクターがいった。「やめろ!」
モニは、意外の面持ちでドクターを見つめた。
「統制官を殺したところでなんにもならん」
モニがいった。「しかし、かれは、ダレクに手をかしていました。かれが手にかけて流した血のことを知っていれば……」
ドクターが答えた。
「統制官を殺したところで、ダレクたちはすぐに代わりを見つけるさ。ほっておくんだ」


代わりなんていくらでも居る。その通りだ。そう思ってないのは、信じたくないのは、当人だけ。


「スタイルズは善人だ。ひとりよがりで横柄で、もったいぶっておるといってもよかろうが、根は善良なんだよ、……」


善人とか、善良なんてのは、言い換えればかこんな中身、って程度のことだ。いちばん始末に負えないのが、この手の善人面した連中なのには間違いない。

結局、物語は、ドクターによってダレクの支配しない未来を獲得した。今は。

後は機会があれば、このドクター・フー・シリーズ【ダレク族の逆襲!】でどうなったか確認してほしい。この本そんなに高くないから。

最後にひとつ、さんざ叩いてきた統制官の最期だけは、紹介したいところ。彼はそれでも、人の"誇り"をもった人間だった。


これが最後と覚悟をきめて、地球第一統制区の統制官は、ダレク最高評議会の前に立った。
なぜか、別人のように見えた。これまで奴隷特有の、うつむきかげんだった姿勢が一変していた。肩をそびやかし、胸を張っていた。かれは、やっと恐怖から解放されていたのだ。いまや失うものがなにもなかったから。ゼノが勢いこんで報告をしている間、物静かにきいていた。
〈黒いダレク〉が威圧的な動作で統制官のほうにくるりと向いた。「おまえは、ダレク一族を裏切った。死刑に処する!」
銃身がまわってかれを狙った。他のダレクたちの銃もそれにならった。
口を切った統制官の声は平静そのものだった。「いや、それはちがう。わたしは、全生涯を通じて人類を裏切ってきたのだ。だが、それもこれまでだ」
〈黒いダレク〉は、激情に駆られて金切り声をあげた。「お前の息の根をとめてやる!」

統制官はニッコリ笑った。

「勝手にするがいい!だがわたしは、あんたたちの息の根をとめる手助けをすでにすませてしまったよ」


傀儡、統制官が敵なのではない。こんな部品、はいくらでも替えがある。その裏で腹黒く糸引く奴こそが真の敵。

俺も、この〈黒いダレク〉と、生涯かけて戦おう。やつらはもう記しを残し、宣戦布告しやがったからな。

なんて!この小説読みながら思う高野十座でしたか。
(`_´)ゞ





※ 引用。