※
「ティナ……。ダーリン。」
フレディが "ダーリン"などと声をかけるのは、はじめてのことだった。ティナは、なぜか冷たいものが背筋を走るのを覚えた。
「苦しい……。君には……想像つかないくらい……苦しいんだ。」
フレディは、話すだけでもひどく苦しいようだった。
「けどね……すこし……楽になる方法が……一つだけ……あるんだ。」
「ど、どうするの?」
ティナは、フレディの力になりたくて必死だった。
「人間の……脳みそだ。」
今回は『バタリアン』(S61 / 講談社X文庫、ジョン・ラッソ著、嶋田 洋一 文) をLog.る。
以前に日本語吹き替えTV放送版の『バタリアン』をここに書いた(検) んだけど、
映画小説版はいかがでしょう?とか思って…
(*☻-☻*)
この本、今じゃかなりのプレミア。『13金』と違って ちょっと入手困難かも。
例によってあらすじは割愛。俺よか皆様のが詳しい。
※
ガールフレンドのティナと見つけた、友達のサンシャインの姿が目に焼きついてはなれない。サンシャインは、裸のままバスルームにたおれ、ふくれあがり、青白くなり、腐臭を発していた。その腕には、壊れた注射器の針が刺さったままになっていた。
そんなサンシャインの姿を見たことで、フレディがいっぺんにまっとうな人間に生まれかわったわけではなかったが、それが心変わりの第一歩になったことはたしかだった。
映画の『バタリアン』('85/米) では、主人公の一人、このフレディはただの愚鈍なパンク上がりの兄ちゃん、て描き方なんだけど、
冒頭 こんな伏線があったなんて…感情移入してしまう…
その映画『バタリアン』の括りは、ホラーでコメディ、ってことになってて、でも最近の『ゾンビランド』しかり、『ゾンビハーレム』しかり、名作『ショーン・オブ・ザ・デッド』しかり…
コメディの中のシリアスさ、くらい心に響く、突き刺さる響き方ってなかなか無いもので…
この『バタリアン』が、ただのコメディではなく、また『NOTLD』の正当な続編であるにもかかわらず、それとはまた違う、独立した傑作として、『サンゲリア』と並び称されるのも、評価されるのも頷ける話。
※
天上で誰かが自分の言葉に耳を傾けてくれるという信念をもち、神に語りかけたりすることも、もはやなかった。だから、サンシャインの遺体に唱えた祈りは、祈祷書からとったものではなく、自分で考えたものだった。
死後の世界に、もし楽しいことがあるなら、サンシャインが最上の悦楽を味わえますように。遺族と彼の愛した人々が、サンシャインのことをいつまでも忘れず、いいところもあるやつだったと思いますように。そして、深い悲嘆にくれることがありませんように。これが、ミートの熱い願いを表した、彼特有の祈りだった。
映画じゃ、唐突に、髪の赤いショートの女性がストリップ始めるけど、この仲間の死があった上での、このストリップなのね、ただ墓地でバカ騒ぎしてたわけじゃなかったんだ…
この小説版はかなり深い。
※
フランクはゾンビを二人にまかせて、その場を離れ、麻ロープの束を探しだした。のたうち、はねあがるゾンビの体を、三人は大いそぎでしばりあげた。
「ちきしょう、どうして死ななかったんだ?」
フランクがどなった。
「脳をやればだいじょうぶだといったのは、おまえだぞ。」
バートがそれに答えた。
「映画ではそうなんですよ!」
フレディがフランクをかばった。
「だめだったじゃないか!」
バートの声には怒りがこもっていた。
「事実に基づいているとはいえ、作り物だからな、映画は。」
映画本編でファンの多い、爆笑のドタバタシーンです。小説版はこんな感じ。
で、タールマン登場の描写。
※
ひび割れた容器に入っていたミイラは、どうやら形を変えていたようだ。真っ黒でどろっとしたタール状のゾンビとなって、よろよろと忌まわしく動いていた。
タールが胸の悪くなるような声を出した。さっきまで人間の声をよそおっていたが、今度はタールマンのまぎれもない本物の声だった。
「脳みそ、脳みそをくれー。」
映画 屈指の名シーン、フランクが自分のバタリアン化の最中に、愛する妻に「許してくれ」と、指輪を外して自ら火葬炉の中に入って行くシーンは………無い。
なんでー(T . T)
どんな描写か楽しみだったのにー
て、ことは…ダン・オバノン監督、やるやんけー
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
でも、オバンバへ質問するくだりはある。
※
「どうして脳みそを食べるんだ?」
アーニーがたずねた。
「脳みそを食べると……すこしは楽になるの。」
「そりゃ、どういうことかね?」
アーニーは話をやめなかった。
「死ぬと……苦しいのよ。」
骸骨(オバンバ) が言った。
「死んでも苦しいのか?」
「体が……腐っていくのが……わかるの。」
こんな、実はシリアスな小説からしたら、映画をコメディとして描いたのは正解?
じゃないと、重くてしかたない。
(ーー;)
映画での、フレディとフランクのコミカルなやりとりも、この作品の人気の一端を担っていたのだろうね…
「(ゾンビ) 映画はウソか?」
「それは悪くない質問だ」
※ 引用。
「ティナ……。ダーリン。」
フレディが "ダーリン"などと声をかけるのは、はじめてのことだった。ティナは、なぜか冷たいものが背筋を走るのを覚えた。
「苦しい……。君には……想像つかないくらい……苦しいんだ。」
フレディは、話すだけでもひどく苦しいようだった。
「けどね……すこし……楽になる方法が……一つだけ……あるんだ。」
「ど、どうするの?」
ティナは、フレディの力になりたくて必死だった。
「人間の……脳みそだ。」
今回は『バタリアン』(S61 / 講談社X文庫、ジョン・ラッソ著、嶋田 洋一 文) をLog.る。
以前に日本語吹き替えTV放送版の『バタリアン』をここに書いた(検) んだけど、
映画小説版はいかがでしょう?とか思って…
(*☻-☻*)
この本、今じゃかなりのプレミア。『13金』と違って ちょっと入手困難かも。
例によってあらすじは割愛。俺よか皆様のが詳しい。
※
ガールフレンドのティナと見つけた、友達のサンシャインの姿が目に焼きついてはなれない。サンシャインは、裸のままバスルームにたおれ、ふくれあがり、青白くなり、腐臭を発していた。その腕には、壊れた注射器の針が刺さったままになっていた。
そんなサンシャインの姿を見たことで、フレディがいっぺんにまっとうな人間に生まれかわったわけではなかったが、それが心変わりの第一歩になったことはたしかだった。
映画の『バタリアン』('85/米) では、主人公の一人、このフレディはただの愚鈍なパンク上がりの兄ちゃん、て描き方なんだけど、
冒頭 こんな伏線があったなんて…感情移入してしまう…
その映画『バタリアン』の括りは、ホラーでコメディ、ってことになってて、でも最近の『ゾンビランド』しかり、『ゾンビハーレム』しかり、名作『ショーン・オブ・ザ・デッド』しかり…
コメディの中のシリアスさ、くらい心に響く、突き刺さる響き方ってなかなか無いもので…
この『バタリアン』が、ただのコメディではなく、また『NOTLD』の正当な続編であるにもかかわらず、それとはまた違う、独立した傑作として、『サンゲリア』と並び称されるのも、評価されるのも頷ける話。
※
天上で誰かが自分の言葉に耳を傾けてくれるという信念をもち、神に語りかけたりすることも、もはやなかった。だから、サンシャインの遺体に唱えた祈りは、祈祷書からとったものではなく、自分で考えたものだった。
死後の世界に、もし楽しいことがあるなら、サンシャインが最上の悦楽を味わえますように。遺族と彼の愛した人々が、サンシャインのことをいつまでも忘れず、いいところもあるやつだったと思いますように。そして、深い悲嘆にくれることがありませんように。これが、ミートの熱い願いを表した、彼特有の祈りだった。
映画じゃ、唐突に、髪の赤いショートの女性がストリップ始めるけど、この仲間の死があった上での、このストリップなのね、ただ墓地でバカ騒ぎしてたわけじゃなかったんだ…
この小説版はかなり深い。
※
フランクはゾンビを二人にまかせて、その場を離れ、麻ロープの束を探しだした。のたうち、はねあがるゾンビの体を、三人は大いそぎでしばりあげた。
「ちきしょう、どうして死ななかったんだ?」
フランクがどなった。
「脳をやればだいじょうぶだといったのは、おまえだぞ。」
バートがそれに答えた。
「映画ではそうなんですよ!」
フレディがフランクをかばった。
「だめだったじゃないか!」
バートの声には怒りがこもっていた。
「事実に基づいているとはいえ、作り物だからな、映画は。」
映画本編でファンの多い、爆笑のドタバタシーンです。小説版はこんな感じ。
で、タールマン登場の描写。
※
ひび割れた容器に入っていたミイラは、どうやら形を変えていたようだ。真っ黒でどろっとしたタール状のゾンビとなって、よろよろと忌まわしく動いていた。
タールが胸の悪くなるような声を出した。さっきまで人間の声をよそおっていたが、今度はタールマンのまぎれもない本物の声だった。
「脳みそ、脳みそをくれー。」
映画 屈指の名シーン、フランクが自分のバタリアン化の最中に、愛する妻に「許してくれ」と、指輪を外して自ら火葬炉の中に入って行くシーンは………無い。
なんでー(T . T)
どんな描写か楽しみだったのにー
て、ことは…ダン・オバノン監督、やるやんけー
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
でも、オバンバへ質問するくだりはある。
※
「どうして脳みそを食べるんだ?」
アーニーがたずねた。
「脳みそを食べると……すこしは楽になるの。」
「そりゃ、どういうことかね?」
アーニーは話をやめなかった。
「死ぬと……苦しいのよ。」
骸骨(オバンバ) が言った。
「死んでも苦しいのか?」
「体が……腐っていくのが……わかるの。」
こんな、実はシリアスな小説からしたら、映画をコメディとして描いたのは正解?
じゃないと、重くてしかたない。
(ーー;)
映画での、フレディとフランクのコミカルなやりとりも、この作品の人気の一端を担っていたのだろうね…
「(ゾンビ) 映画はウソか?」
「それは悪くない質問だ」
※ 引用。
コメント
コメント一覧 (2)
濡れタオル、下げてみたり色々試みてんだけどね…
d( ̄  ̄)
なんとかして咳 止めなきゃ。
(~_~;)
怪獣トランプ 言ってる場合か!つの。
(; ̄ェ ̄)
高野十座
(いや、怪獣トランプ情報はレアです)
(*☻-☻*)
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
そーいえば、最近は風邪は殆どひかなくなったね。
何を、どんな習慣を変えたか?
そうだね、今までよくやってた、信じ求めていたことを止めた。てのがある。
それが何なのかは言えないけれど。
後は、大きな愛情を感じる、包まれる、てのが大きいか…
ストレスは、叶わぬ求め、から訪れるものだから。
不思議だったんだよ、その人にとっても善かれ、と思われるはずの現実が、
その人の嫉妬を生み、反感も買う。
それなら、そんな偽りは正直に無い方が好いんじゃないか?
そして、体調不良は、気持ちから、てのは身につまされて本当。
嫉妬を持たない人間関係 でもない限り…
ディッキーや、そんな魂の友人たちとの世界のような…
ジェラシーのエネルギーを跳ね返す気力で体力も使い切って、年中病気してしまうことになるんだなーと…
だから、余計なことはどんどん排除して、シンプルになっていかないと、
こっちが先に参って、やられてしまう。って気付いた。
(T ^ T)
これが、俺が最近、風邪をひかなくなったことの訳、理由。
高野十座
(…別に、そんなものこそ必要じゃないよ。)
(^_^)