昨日、おでん食べながらこの小説を読んだ。

ちょと出だし、触りの箇所…

※『「おまえにはわかっているのか?」隣に立った人影が尋ねる。最初の話し手と違って、声は細くかすれていた。息を切らした少女の声だ。頭は、こまかい格子縞の刺青でびっしり覆われ、その縦の線と横の線が交叉するすべての場所に、宝石つきの針が頭蓋骨まで達するほど深く突き刺さっている。舌にも同じような飾りがあった。
「おまえは、われわれのことを知らないのではないのか?」』

ほぼ 同じ展開、
映画【ヘル・レイザー】('87/英) の原作にあたる【ヘルバウンド・ハート】('89/クライブ・バーカー著、宮脇 孝雄 訳/ 集英社文庫) を読む。

この物語りは、八六年【ナイト・ヴィジョンズ】第三巻 (ダーク・ハーベスト刊)に書き下ろしとして収録されたもの。

映画のノヴェライゼーションではないんだそうだ…

しかし、【ヘル・レイザー】は、バーカー自らメガホンをとってるわけだから、原作にあたる【ヘルバウンド・ハート】に忠実であってもどこも変じゃない、
つーか、原作をことごとくやられちまうバーカーとしては、手本を見せた って感じか…

面白い作品だった。
一気読みです。

※『《ルマルシャンの箱》の封印を解くにはどうすればいいか、キルヒャーはヒントを教えてくれた。そのヒントには、実際的なところもあれば、哲学的なところもあった。パズルを解くのは旅をするのに似ているーーーそんな意味のことをキルヒャーはいった。この箱は、道しるべを記した地図であると同時に、旅の道程そのものでもあるらしい。』

なんともね、パンキッシュな感じのいかにもイギリス風だと思ったね、

ゴーゴリなんかだと、そこはかとなくロシア特有のホンワカした温もり、ポトフ的な昔話感があるんだけど、

バーカーには隙がないゴス、つーかハードレザーつーか、
入ったら出られない巣窟感を思った。

しっかり読まないと、頭の中でのビジュアル化が難しいけど、
想像出来るなら出来るほど おぞましい文章力、小説だったと言っておく。

そして、かなりエロい。

※『 箱の表面には、もう亀裂一本走ってない。そればかりか、ぴかぴかに磨き上げられていた。調べたわけではないが、謎を解く手がかりは何一つ残されていないはずだった。次にこの箱を手にする者は、地図を持たずに六つの面を旅しなければならない。そのときがくるまで、あたしはこの箱の保管係りを務めなければならないのだろうか?どうもそうらしい……。』

"地図を持たずに、六つの面を旅しなければならない" とか、
歌詞に使う様な文学的表現も好きだな。

"永い旅の様な 遠くのものへと繋がる想い…" (by BALLAD in BLUE)
高野十座(c) 歌詞だけど、なんかこれ思い出したわ。
(#^.^#)

ほらね、サンゲリアでバラッド、なまじウソじゃないでしょ?

どんなものにだって"歌" は内包されてると俺は思うよ、
固まりからそれを彫り出すことの出来る人間だけが描ける世界、

…それが歌。

傍観者はそれを"嫉妬の目" でしか見られないから、
生涯、いや何度生まれ変わろうが 何も生み出す事はないね…

これ たぶん真実…

《ルマルシャンの箱》の、六面のパズルを解き明かす時、

美しい音楽が鳴り響くんだよ、

地獄から鳴り止まぬ、それはそれは美しいメロディが鳴るんだってさ…


魔導士と契約を結べば、そんな歌も歌えるのかも…

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※ 引用。