竹書房の『「超」怖い話 K(カッパ)』('07) にすごく好きな話がある。



シャボン玉

しおりさんは、晴れよりも曇りの日が好きだという。
「曇りとシャボン玉に助けられて生きてきたの」
しおりさんのおかあさんは彼女を産むと同時に亡くなった。
だから彼女にはおかあさんの記憶がひとつもない。
「哀しくて哀しくてお墓で泣いていたとき、たまたま持っていたシャボン玉をしたの」

涙目のまま、ふーっと膨らませた石鹸水の風船を眺めていると、危うい表面にちらちらと動く影がある。

自分に向かって一生懸命、手を振る女の人が映っていた。

……おかあちゃん。

晴天では眩しすぎて映らない。

だから私は曇りが好きなの、と彼女は微笑んだ。






歌になりそうなエピソードで、とても好き。
(^ー^)





※ 『「超」怖い話 K(カッパ)』('07/竹書房) 平山夢明 著、収録 【シャボン玉】より引用。
(ちなみに、K(カッパ)=は、ギリシャ・アルファベットの第10字。河童ではない。)