グリーン・ゴブリンの顔が付いたオモチャ屋のトラック がリーダー【地獄のデビルトラック】('86/米) は、
この映画の原作『トラック』('73) の著者"S・キング"が、E・エステベス主演で監督した。

エステベスはC・シーンの兄ね。
(^。^)

俺はまあまあ好かったけど、好き嫌いの別れる映画だったかな…
(。-_-。)

今回はその原作、『死のドライブ』('01/文春文庫) に収録されたキングの短編小説(ピーター・ヘイトニング編、野村芳夫 訳) をレビューしてみる。
_φ(・_・


わたしは腰をおろし、窓の外を見た。すぐにいやなものが目に入った。シボレーの小型ピックアップトラックが、重輓馬の群れにまじったシェトランドポニーのように、巡視に加わっていた。わたしは、そいつがキャデラックからとびだした娘の死体をまんべんなく平らにするのを見届けると、目をそらした。


なんかね、地球近くを通過した彗星だかなんかの影響で、あらゆる乗り物が自分の意思を持って自ら動き出す、とかそんな話なんだよね。そー言ゃあ…一台、駐車場の一角を前後に何度も、行ったり来たりしてたわ、映画で。


また悲鳴があがる。間違いなく排水溝からだ。「助けて……くれれれれれ……」
「なんだったの?」娘だった。闇のなかでその目は大きく見開かれ、ひどくおびえているようだった。
「なんでもない」わたしはいった。
「助けて……くれれれれれ……」
「生きているんだわ」娘はささやいた。「ああ、たいへん、生きてるのよ」
スノッドグラスのようすは見るまでもなかった。いやというほどはっきり想像できた。背骨と両足が折れ、身体半分を排水溝に落として横たわり、丁寧にアイロンのかかったスーツを泥まみれにし、息たえだえの蒼白な顔で無情な月を見上げて……。
「わたしにはなにも聞こえない」わたしはいった。「きみは聞こえるのか?」
娘はわたしを見た。「どうして聞こえないの?どうして?」
「だったら彼を起こしてみたらどうだ」わたしは若者に向かって親指を立てた。「彼ならなにか聞こえるかもしれない。彼なら外に出るかもしれない。そうしてもらいたいのか?」
娘の顔が痙攣しはじめ、目に見えない針で縫われたかのように引きつった。「なにも」彼女は小声でいった。「なにも聞こえない」


見て見ぬ振り、ね。人間がいちばん日常で見せる感情。目立たぬ様 こっそり、何もなかった、知らんぷり、見なかったことにする、ね…


娘はボーイフレンドのもとにもどってその胸に顔をうずめた。眠っている彼の両腕が娘をつつんだ。
ほかには誰も起きなかった。スノッドグラスはしばらく泣きわめいたり悲鳴をあげたりしていたが、やがてそれも止んだ。


どんな気分だろう?こうして生きたまま死んで行く様の実況を、一晩中聴きながら夜明けを迎える、てのは…
さぞかし寝覚めの宜しいさわやかなモーニングだったことだろう…

かくして、相手は所詮機械。待っていさえすれば燃料切れとなる。兵糧攻めに出ようとする人類…


われわれは待った。エアホーンの長短の拍子が静かな朝の空気に響く。やがてパターンが変化し、若者はまた書きはじめた。われわれは肩ごしにのぞきこみ、メッセージができてゆくのを見守った。"誰か燃料を給油せよ。給油する者に危害は加えない。すべての燃料が給油されなければならない。ただちにやるのだ。さあ、誰か燃料を給油せよ"


言うねぇ、トラック。脅迫ときたもんだ。しかし結局人類はトラック共の言いなり、命と引き換えの駆け引きに抗えるほど人は強くない。


最初油槽が空になるまで給油するのに三十分かかり、次にわたしは二番目の給油ポンプ台に移動した。わたしはガソリンを入れたり、ディーゼル油を入れたりしていた。トラックは果てしなく進んでくる。もうだんだんわたしにもわかってきた。しだいに見えてきた。人々は国中でこの仕事をしているのだ。あるいは、トラック運転手と同じく、ブーツをなくし、はらわたにくっきりとタイヤの山のかたちを残してつぶされて死んでいるのだ。


人間は弱いね、生か死か、二者択一、命を惜しむあまり、自分達が発明し 作ったものにさえ奴隷となる。
対価を支払う同等なはずの行為にすら、命を預けるとなれば、謙(へりくだ) る性(さが) の染み付いた生き物なのだから、それも仕方ないことか…

と、まあこんな感じ。この先は本編を読んで。何しろ短編だからネタバレしてしまう。

映画は、小説とは違い胸のスカッとする結末やら、用意されてたような 無いような…

E・エステベスみたいな若手のスター(当時ね) を起用するんだから、主演が給油係りを延々し続ける話で終わる訳がないわな。

ある意味、トランスフォーマーだよね、トランスフォームしないだけで。デストロン対人間。
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

キングはこの映画を、自分で監督(しかも初の!) しておいて失敗作だと言ってるみたいだけど、俺は全然キライじゃない。


二機の飛行機が、暮れなずむ東の地平線をよぎって、くっきりとした銀の飛行機雲を引いて飛んでゆく。
あのなかに人間が乗っていると信じることができたら、どんなにいいか。


彗星の影響とか、立て篭もり身を守るとか、確実に『ゾンビ』('78/米・伊) からのインスパイア?
あれ?なら小説('73) のが先だ!キングは凄いな!マジに。

とか思ったら数人が小さなダイナー(一軒家) に立て篭もるとかは、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』('68/米) の影響だよな、やっぱ。ロメロがキングをパクった訳じゃない…

この飛行機のくだりも『28日後…』('02/英) のラスト?
希望を持たせる終わり が秀逸だった、この大ヒットした映画にもロメロやキングは多大な影響を与えてんだ….

偉人と称される小説家なり映画監督なり、臆面もなく 誰の何に影響された、てのをはばからず公言したりする。

ロメロの…ニューヨーク近代美術館に所蔵されている程のゾンビ映画が、昔の古いSF映画の影響を受けた、ってのはファンの誰もが知ってるし、

何かを生む、のだから、その元のソースを語る、てのは両親を、出生を明らかにするってこと。

己の発表したものの出自、根っこを隠して、自分がみつけた、発明した、とウソを云う行為、そのものズバリを引用、利用し益を得る行為が、パクリ、なのだから、そんな人間は "新しい何か" とは、永遠に出会えないだろう…

せいぜいの粗探しが関の山、自分の血脈が何処から来たか、そこには触れられたくないからその前に騒ぐ?嫉妬?

どんなに隠しても皆んな知ってる。そこの違いは一瞬で判る。
先に出願登録していた、だから私の物だ と騒ぐ輩と似ているのは、きっとそっち系の人ならよく理解できる。

もっと知ってて話さないか?表面なぞっただけの付け焼刃じゃなくて、一周回って、その元だというそれ、の元すら、何処から持って来たのか?知りたくはない?

…みたいな事を考えたよ。あれも ここも キングはこんな映画を観て、小説を読んできたんだなぁ、ってわかるから、

結局…ゼロから何かを生むにしても、やはり両親は必要。それはどんな物、事、人でも同じ。


木の股からじゃ、絶対何も生まれない。








※ 引用。