リアルタイムじゃないけれど、かつて、アーウィン・アレンのTVドラマ『原子力潜水艦シービュー号』('64〜68/米)が大好きで、何度目かの再放送のテレビの前で 手に汗握ったものだ。
(^_^)

傑作選LDの頃にまた再見して、今でもメビウスモデルの巨大なプラモなんか持ってたりする。
(#^.^#)

【シービュー号と海底都市】('68/ポール・W・フェアマン著、高橋泰邦 訳/創元推理文庫) は、そんなシービュー号が大活躍するお話。


大西洋上に竜巻が続発し、原因調査におもむいた原子力潜水艦シービュー号は計らずも深海底に正体不明の建造物を発見した。ホワイト・ハウスに報告に行ったネルソン提督とクレーン艦長は、大統領から異星人の聖典の解読書を見せられ、地球の海洋を略奪せんとする恐るべき大計画のあることを知る。


なんか?聖書の引用みたいな話?異星人の侵略なのか?


「……水は最初の樽から二番目の樽へ移ったのです」
「それはよく分かった。しかし、その芸当はどんなふうにして行われたんだね?」
「純粋なエネルギーの形に変えられたのです。エネルギーの形で樽から樽へ移動したのです。それから原形にもどされ、ふたたび水として蓄えられたのです」
「で、この方法は地球上の人間を皆殺しにするって?」
「そうです。もっとずっと大規模で複雑なスケールで行えば、われわれの海を底からさらい上げ、わが太陽系から宇宙空間をこえて移動させ、それを必要としている遥か遠い惑星に、雨の形で降らせて蓄えることもできます」
静けさがこの異様な実験室の中に行きわたった。アーチャー・べロウズの目が、自分だけしか分からないその気が遠くなるような操作を見つめて虚ろになった。「そして千日の昼と夜の間、雨が降りつづけた」と引用した。


ドラマじゃ半魚人やら、ザリガニ宇宙人やら出てきて解りやすかったのに、小説の方は難しいな、なんか…


「……彼らは本当は他の惑星の生物なのか?」
「彼らはこの地球の土着の人間です。少なくともわたしには、そうでないと考える理由がありません。しかし彼らはこの途方もない略奪の実行に専念し、すべてを捧げています。これは何代にもわたって一貫してきたことです。異星人との最初の接触が、いつ、どのような方法で行われたのか、わたしは知りません。二百年以上前のことです」


ふむふむ、なんとなく見えてきた。


「……───つまり、たった一つの家族が、何代もかかって一大企業体をつくりだし、わが地球を破滅させようという途方もない計画に必要な装置を、秘密裏に組み立て、すえつけ、これから活動させようとしているという、空想じみた話を」
「命が惜しければ受け入れることだな」大統領がきびしい語気で言った。


米大統領をも知るこの世の終り。まるでカレンダリオ・マヤの暦が終わる今年の話なのかと思う。

異星人と共謀し、この地球上の何処かで世界の破滅を画策しようと企てる一族が居て、それを阻止せんとする 合衆国とシービュー号、って話?図式なのか?


「わたしは運命論者ではありませんが」と、その不思議な小男は語をついで、「神秘論者だと思います。わたしは説明できない多くのことを感受するらしいのです。私のこの生涯かけた仕事には失意と絶望の時がいくどかあり、そんなときわたしに仕事をやり続けさせたのは、ただ一つ、なにやら訳の分からぬ理屈ぬきの声なき命令でした。進み続けること───自分でも分からないなにか漠とした目的を実現すること以外なにも重要に思えない時がありました───敗北も勝利も同一のことに思われる時がありました。……」


何かにつき動かされる感覚、てのは俺にもすごくよくわかる。

結局、この情報をもたらした小男=べロウズは暗殺され、シービュー号は、「あの忌々しい蛇の巣を破壊しろ」、と 大統領から任を受ける。


シービュー号は北極への途上の冷たい北の海に、その優美なハーキュライトの艦首を押し進めた。スレートのような暗灰色の海を侮るように海面すれすれに航(はし)り、そのはっとさせる線型には鳥とも魚とも思われる要素があった。
(中略)
「一休みしましょう。シービュー号は他の潜水艦とちがいます。第六感をもってますし、われわれが目ざすものはちゃんと承知していますよ」


なんと!第六感を持つ潜水艦!シービュー号は 俺が思うに、"うなぎ" の様な外観。


「いいことを話してやろう、ウェルカー。わたしは自分自身を知っている。己を知っている。この世の中で唯一の本当のバカとは、あるがままの自分───自分がしっている本当の自分と、正面から向かいあおうとしない人間のことだと、昔教えられたものだ。わたしは自分の弱点も長所も、それに賢愚双方へむかおうとする傾向があることも知っている。
わたしは、自分の罪とか、心を腐敗させる弱点とか呼ぶことができるものについて、なにかしているとは言わない。しかしそれを知ってはいるのだ。それをつぐない、それが自分を破滅させないようにしうる道はそれしかない」


アメリカ合衆国大統領、USOSシービュー号の実際の指揮官 "ばら愛好家" の言葉。

己を知らぬ莫迦、が始末に負えないのは、今も昔も、人も場所も何も選ぶことなく 変わることはないようで…


「自己保存はあらゆる動機づけのうちでもっとも強力なものだ。もし君が君の惑星を維持することを君の宗教的な義務であると確信できるならば、あらゆる事情は一変する」


例えそうであっても、俺は己の欲の為に、愛や友情を裏切るのは 違うと思う。甘いのはよく理解してても。
もし俺がそれを失くしたら、俺はもう本当に歌い手ではないと思うから。


合衆国大統領と、ニュー・ヨーク・ジャーナル紙の記者ピーター・ウェルカーは、シーレイ号のこじんまりした潜水器に乗って、大西洋の深海へ下って行った。この鐘型の潜水器はシービュー号の同種のものと大きさがまるで違うし、その優れた装備ももっていない。シービュー号のそれは、潜水員六名と作業員一名が乗っても少しも窮屈にならない涙形の運搬機だ。


シービュー号の下部から射出されるフライング・サブのこと?

と、まあ最後は、ネルソン提督と、クレーン艦長、シービュー号乗組員全員の働きで、無事めでたしめでたし、となる訳なんだけど…

なんか後半かけ足過ぎてもったいない。あまりにも呆気ないし、敵 弱すぎ…

せっかく、こりゃ凄く新しい着眼点だわ、とグイグイ引き込まれてったのに 途端、終わりーみたいな…

も少し引っぱってよ、って…'68年の小説です。定価160円。
( ̄◇ ̄;)


「君たち気違いコンビは、ここで何をしとるのか」
ネルソンの顔も引きつって青白かった。そして大統領の顔と同じくこわばっていた。「黙ってついてらっしゃい!」ネルソンは怒鳴った。

大統領はついてきた。


なんじゃそりゃ…
(v^_^).。oO

それでもこの小説は面白い。☆☆☆☆です。
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ






※ 引用。