『母親を喰った人形』(S62/ ラムジー・キャンベル著、小倉多加志 訳/ハヤカワ・モダンホラー・セレクション)なんかは、

いつも枕元に置いておく『ホラー小説大全 増補版』(H14/風間健二 著) に紹介されてたお勧め本。

数年前に、この本を上板の古本屋で200円だかで手に入れて、どれが面白い?てのが色々紹介されてるから実に助かった、と 購入して、

『母親を喰〜…』を試しに買ってはみたものの、俺の読みたい気持ちより若干 睡魔のが勝ってるらしく、未だ読了成ってない。

『ホラー小説〜…』と同様、こちらはリハ行く途中でフラっと立ち寄った古書店で490円で買った(定価980円、820頁!) の『スティーブン・キング 死の舞踏』('95/安野 玲 訳/福武文庫) 共々、高野十座には 小説さがす上で非常に役立つ資料となっている。

もともとこれの、'93年のver.、大サイズの元本を読んでたんだけど、巻末索引の誤植が気になってて…文庫の方はそれが直ってたのでとても重宝してる。

おかげで、色んな小説や映画も知ることができた。もうボロボロになっちゃったけどこの二冊、俺にはバイブル。

と、そのどちらにも全然、つーかどこにも全然紹介されてない『キングコング2』('86/R・シャセット&S・プレスフィールド原作、吉岡平 訳/ 講談社X文庫) をご紹介。

俺はこの『キングコング2』映画 好きなんだけどなあ…


巨大な人工心臓の下で、巨猿は眠りつづけている。9年まえに世界貿易センタービルの頂上から落下した……そのままの姿で……。


何と、キングコングは生きていた!って所から物語は始まる。
J・ギラーミン監督のこの『キングコング2』('86/米)は、けっこう非難囂々じゃなかった?

せっかく『タワーリング・インフェルノ』の監督引っ張り出して来て アレじゃあねぇ…って皆様ガッカリしちゃった感 あったよね、

いや、でも俺は好き。絶対。
(#^.^#)


ハンクが天を仰ぐと、そこには二つの目玉があった。主ではなく、猿の。
「頭をぶつけたかな……。」
彼は商売がら、オランウータンは何度も目にしていた。しかし身長18メートルのやつははじめてだった。それがいま、彼の目の前にいる。崖から身を乗り出すようにして、こちらをのぞきこんでいる。


これが、キングコングを冒涜しただのなんだの言われた、雌コング 初登場シーン。

キューブリックまで出たりして、一時おかしなブームを呼んだ『クイーン・コング』('76/英・伊)ではないよ、こっちはまた故 広川太一郎さんのスーパーぶっ飛び吹替で観ると最高なんだけどね。
(;゜0゜)


「やめろ!!」
ハンクは叫ぶなり、カメラの前に立ちはだかった。
「相手はレディーなんだぞ。そのアングルは失礼じゃないか。」
「レディーか。」
記者の一人がつぶやく。
「レディー・コング!!こいつはいい。」
こうして彼女の芸名が決まった。


『キングコング2』には、息子のキコも、ちょっと現実味のあるサイズの巨猿、ジョー・ヤングも登場しない。

でも、雄が居るんだから、雌…レディー・コングが居ても不思議じゃないわな。


彼は自分以外の同族を、見たことがなかった。ものごころついたとき、すでに彼はコング島で、最後の一頭だったのだ。


どうやって生まれて来たねん。雌が簡単に見つかるなら、最後の一頭ってことはないやろ。


立ち上がろうとして、両脚が萎えてしまっていることを知った。感覚がないのだ。昏睡状態にあった9年間は、彼にとってはほんの一瞬だ。だからこの巨大な類人猿は、自分がリップ・ヴァン・ウィンクルになったことを知らない。


リップ・ヴァン・ウィンクル(Rip Van Winkle)て、そのまま出てて、注意書きもなくてこれじゃ意味 伝わらなくない?

西洋浦島、と邦訳するらしい。いつか歌詞に使おう。
( ^ ^ )/□

(俺も、私も使おう、って人は、その出自は自分で探し出してね)

こんな風に、作詞するのに言葉、単語をいつも気にして集めとくのが 長年の癖なんだけど、

それを羅列したところで歌詞になる訳じゃなくて、自分の物語を 心の音にして持っているか、そんな人だけが、心打つ詩をものにできる、産み出すのだと思う。

この小説では、リップ・ヴァン・ウィンクル、という言葉をひとつ知りました。

そこから、どんなに美しい、切ない、心震わす物語が紡げるか、

この作業をパクリだとかなんとか、嫉妬だけの奴には、生涯何も描くことは出来ない、と ハッキリ言っておかなくちゃならない。

どんなに小狡く立ち回っても、それこそどこまでもフェイク。

この単語を使って、美しい物語を語りなさい。ってコンテストなら、そいつは永遠に落選、だよ。


コングたちの激しい息づかいが聞こえはじめるころには、二人のわだかまりも解けかけていた。ハンクはエイミイを抱きしめると、そっと耳たぶにキスをした。
「俺たちも、霊長類の動物だものなあ……。」
エイミイもキスを返してきた。
夜が、スローモーションで明けはじめる。


ロマンティックです。
(#^.^#)


巨大なこぶしがクレーンのように、バンスの下方の土をかき崩した。
あっというまにバンスのしがみついていた岩肌は崩壊し、彼は悲鳴とともに落下した。
そのまま地面にたたきつけられても、じゅうぶん醜い死に方だったろうが、バンスを待っていたものはもっと残酷な運命だった。いや、自業自得といえないこともないが……。
不意に柔らかいものの上に受け止められ、バンスが目を開くと、真っ赤な口と、巨大な杭のような白い歯が視野いっぱいに広がっていた。
それが彼がこの世で見た、最後のものだった。


こんなシーン、映画にあったっけ?東宝の"ガイラ"と同じことしてます。
!(◎_◎;)


ハンクは怒りにふるえた。人間たちの常套手段だ。野生動物を狩り立て、すみ家を奪っておいて、彼らが生きるための必死の反撃に出ると、"害獣"の名のもとに殺戮してしまう。


一度ならず二度までも、人間はコングを殺そうと銃を向ける。なんて身勝手なのだろう。

人類とは、学ばず繰り返す生き物、やはり淘汰されるべき種、なのかもしれない。


コングは勝利の雄叫びをあげた。そして勝ち誇ったかのように、高らかなドラミング。
が、突然───。
その巨体が、ぐらりと大きくよろめいた。銃弾による傷よりむしろ、人工心臓の機能が低下したことによるダメージだった。コングの両手が、胸のあたりをかきむしる。
そのとき、納屋の中から、かん高い叫び声が響いた。レディー・コングの声ではない。元気のいい産声───。
その声が、コングに最後の力を与えた。もうその人工心臓は、とうに機能を停止しているはずなのに……。
「見せてやるんだ。」
ハンクがレディー・コングに向かっていった。その目が、涙でうるんでいる。
(中略)
明けはじめた空を、雨雲が覆いはじめた。
やがて、静かに、音もなく雨のカーテンがあたりを包む。

雨は動かないコングの巨体の上にも、生まれたばかりのベビー・コングの上にも、降りそそいだ。


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※ 引用。

('12/2・10) 記事初出