以前にLog.った(検) 映画『ふくろうの河』('62/仏) の原作を読んだ。
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それは、『アウルクリーク橋の出来事』("An Occurrence at Owl Creek Bridge" ) '11/光文社・古典新訳文庫、アンブローズ・ビアス著/小川高義 訳。

ビアスの短編。

この本、去年出たんだね、前述の『ふくろう〜…』のDVDの方は、ちょっとレビュー見てみようと現在価格見てみたら、中古でも6千〜、新品なら万超え!?してる、なんで?

よかった、買っといて。定価以下。
(T_T)V

この小説も早いとこ入手しといて正解かも。今ならお安い。

でも、欲かくと大抵 碌でもないことになんだよな、不思議と…


死神は礼をもって通さねばならない。たとえ死が身近な戦場であっても、その到来がわかるのなら、しかるべく威儀を正して迎えるのがよい。そして静かなる不動の姿勢は、軍の礼法においては、表敬の形式と見なされる。


なるぼど、戦争では 死神を迎えるべく不動の姿勢をとる、って訳ね…皮肉なもんです。

ストーリーはネット上に溢れてるから参照お願い。俺の拙い過去Log.でも読める。


…くっきりしたダークグレーの目には、穏やかな好人物の相が出ている。これが縛り首になる男の顔だとは、あまり予想のつくことではないだろう。どう見ても下等な殺人犯ではなさそうだ。しかし軍の規律とは用意のよいものであって、さまざまな人間を絞首刑にする条項ができている。


主人公は今まさに絞首刑に処される所から物語は始まる。
映画じゃ、確かその理由は語られないんじゃなかったか?

映画全長 約95分。トワイライトゾーン(ミステリー・ゾーン) の1エピソードとして放送されたのは、映画の オムニバス 三話目にあたる部分 約28分。

ビアスの短編は約17頁。あっという間。


…「もし手が自由になれば」という考えが浮かぶ。「首の縄を振りほどいて、川へ飛び込むこともできるだろう。水にもぐってしまえば、鉄砲の玉を逃れることだってできるかもしれない。必死に泳いで、向こう岸へ上がって、すぐ森に隠れたら、家まで帰れるのではないか。あの家は、いまなお前線の向こうにある。妻や子どもらに敵が迫っていることはない」


で、このまんまの事が起こります。絞首刑のロープが切れて…


…そのうちに、ようやく道らしい道に出た。(中略)
…うっそりと立つ黒い木々が道の両側で平たい壁になり、そのまま地平線上の一点まで遠近法の概念図のように延びていって消失する。この道だけが、いわば森に切れ目をつけていて、見上げれば夜空の星が大きな金色の輝きを放っている。いつもとは違う星が、不思議な星座をなしていた。


どことなく、不吉な暗示?を織り交ぜた文章は、それなりの答え、への道標になっている様…


首が痛いので、手をあててみると、ひどく腫れ上がっていた。縄を巻かれた痕が、黒ずんで輪になっているのだろう。目は充血しているらしい。もう閉じることもできない。舌は乾ききって膨れている。


この辺り、実際を知っている、見た事のある人間の描写だろうと思った。

なんなら…経験者は語る。

そして やっと家に辿り着いて、誰より、何より美しい妻と再会したその瞬間、全ての答えがわかる。


ペイトン・ファーカーは死んだ。首の折れた死体がアウルクリーク橋から下がって、右に左にゆらゆら揺れた。


ネタバレごめん。でもネット上でも全文UPされてたりするし、今更だよね。

結末より…映像での幻想的な描き方とか、小説の淡々とおぞましい表現、とかのが見所かな?

いやあー、人生に奇跡なんて在るわきゃないじゃん、それは脳内での出来事、儚い希みなんだよー、とでもハッキリ言ってるシニカルさ。

ところで著者のビアスって人、最後は失踪?だか行方不明だかでわからないまま、なんだってね(1842〜1914?) 、

自分こそ何処か、ミステリー・ゾーンへでも上手く逃げ果せちゃったんだろうか?

愛する人の元へ、今もずっと走り続けてるのかもしれない…

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※ 引用。