中学は、
まだできたばかりの学校に最初の一年として入学した。

その町には2年前に越してきたばかり、

別に、知らない場所、知らない学校、知らない人、なんてのこそ慣れっ子だったから、

大して気にするでもなく、どうせまた、くらいの気持ちでいたのを憶えてる。

入学式の日、おバカな俺は一人の女子に恋をしてさ、

寝ても覚めてもそいつの事ばかり、なんか病気に取り憑かれたみたいに…
…ほんとバカ。(^^;;

その学校の最初の一年だから、良くも悪くも注目度抜群じゃない?

なのに人目もはばからずその娘に猛アタックするもんだから、
そりゃ目立ち過ぎで風当たりも強い。

当初は全く相手にされず、ちょっかい出しちゃ、
「うるさい!」
なんて怒鳴られたりしてるうちはまだよかったんだけど…

だんだんその恋が、いつしか成就し、
その学校中が知る話題のカップル、てのに認知され始めるとさあ大変…

もともとがよそ者なんだから、目立ち過ぎはそりゃ地元の人間には気分悪いよな、

風当たり抜群のジェラシーMAXの中、なんだか孤独な俺、てな事になる訳よ。

相手がこれまた、
シンデレラ(言い過ぎ?) みたいに可愛らしい、
しかもハートの美しい娘だったし、

地元を敵に回すには充分過ぎる程だよね、

もう浮きまくり、プカプカ浮いてた。
♪(v^_^)v

しかし根が天真爛漫、外弁慶だと揶揄されるほど騒がしいガキンチョだった俺の事、

そんなの全然無視、
我が道を邁進しちゃうんだなまたこれが。

ちったぁ勉強したまえ、君!
(^_^;)

だんだん独りだなぁ、って、誰も口きいてくんないし、

「高野を好きなやつなんて居ない!」なんて小野君に言われて大喧嘩になったこともあったし、
(小野君とは仲良かったよ)

そりゃそーだわ、生きた人間の嫉妬が一番怖い。

俺も、思春期真っ只中。
家には母親の、よく知らない男がある日突然居つくようになったりで 、自分の居場所も無く、
そんなん誰にも相談できないし、

徐々にどよーんとした暗い性格になってって、
せっかく成就した恋すら避けるようにもなってくわけ。

そのシンデレラ娘が可哀想だよね、

俺から無理矢理押し付けられた恋心に、やっと応えてあげたら、
ある日、その迷惑なやつが、何の理由もなく突然口もきかなくなるんだから。

登った梯子外される、みたいな…


そんな頃、

ポツンと浮いて、どよーんと沈んだ俺に「高野が好きだ」と告ってきたのが、あいつ。

小っさくて、お世辞にもシンデレラって感じじゃなかった。
どちらかと言えばヤンキー入ってる?系列の方。

でもさ、俺にはそんな余裕 無くて…
自分の心は何も変わらないのに、誰にも何も上手く伝えられない、

好きな娘にも何も言えないまま、

ちょっとだけあいつと付き合いだすわけ。

そんなんも輪をかけて孤独が増すだけで、何も好転なんかしてかないし、

結局、どれもこれも、何もかも全部ダメになってった…

ひでー中学生活。

もう学校行くの苦痛で苦痛で、明らかに拒否系?の中学生だったよ、

毎日昼から学校行って、職員室前の廊下に正座させられる、みたいな…

更に余計目立つ目立つ。浮きまくる。

自業自得。(。-_-。)

で、2年高校行って、プロレス入って、17のある日…

ま、中学卒業後もずっと優しく接してくれててさ、いい友人関係だったよ、

オフを利用して自宅に戻った時に、ちょっとお茶して、近況報告したりして…

なんかキレイになってたな。
美容師目指してる、車校通ってる、つって張り切ってたよ。

久々に再会したその日は、
これからパーティーに行くんだとか何とか言 ってた。

いつも街で俺を見かけると、元気よくでっかい声で「たかのー!」って呼び捨てで声かけてくる様な娘だったから、

女らしくなっちゃっててびっくりしたの忘れない。

で、その後こっちに戻る前に、帰るよ、って電話で話して…

それが最後。

成人式でまた会えるかなあ?なんて期待してたんだけど 居なくて、

後で訊いたらもう亡くなってた。

享年18。

わんわん泣いた。ほんとマジ泣きした。

だからきっと、
俺とあいつが18手前の 17のあの日 二人会わなきゃいけなかったんだろな、

ずっと忘れないように、会わなきゃいけなかった。

…逢っといてよかったよ。

じゃなかったら、何にも二人でした想い出の無いまま、だったから…

なんかこないだからまた思い出すんだよ、やたらと、
傍に存在を感じる、つーか…

自分のことを好きだと言ってくれた人、忘れないよね。

何にも残さないままいった彼女だけど、だから俺は絶対に忘れないんだ。

誰が忘れても、俺が忘れないようにここに描く。


俺は絶対に 忘れない。