※
マーティンはメリーゴーラウンドのほうに頷いてみせた。
「あれは夏の風物詩ですね。メリーゴーラウンドの音楽、カリオペーの音色」
※
(カリオペ=蒸気オルガン)
これは【ミステリーゾーン】第一シーズン#5
『過去を求めて』('59) の翻訳 (歩いて行ける距離 / ロッド・サーリング著、矢野浩三郎 訳 / 文春文庫) の段落。
※
…彼は静かな声で言った。
「夏に子供であるということほど、素晴らしいことはありませんよ」
※
この物語は、
都会で成功した若きサラリーマンが、毎日に疲れ、何もかも投げ出して…歩いて行ける距離…なのに 20年も帰らなかった故郷へと突然 戻ってみる話…
昔と何ひとつ変わらないその街で、彼を待っていたものは…
※
玄関の階段へ行く途中、足に何か柔らかいものが当たった。野球のグラヴだった。
それを拾い上げ手にはめ、昔やったように、ポケットをぽんぽんとたたいた。そのとき、庭のまんなかに、自転車がスタンドを起こして立ててあるのが目に入った。
ハンドルのついているベルを鳴らしてみた。と、その手をだれかの手が抑えて、ベルの音を消した。目をあげるとロバート・スローンが立っていた。
「またもどってきたな」と、父は言った。
「もどってくるしかなかったんだよ、パパ、ここはぼくの家だから」彼は手にしたグラヴを上にあげてみせた。
「これもぼくのだよ。十一歳の誕生日にパパが買ってくれた」
父の目が細くなった。
「野球のボールもくれたよね」マーティンはつづけた。
「ルー・ゲーリックのサイン入りのやつさ」
※
古き良き時代に郷愁を覚えずにはいられないものだ…
この物語なら、メリーゴーラウンド、カリオペの音色…
俺、高野十座なら…
夏休みが終わったら亡くなってたクラスメイト、
愛し愛された恋人との日々…
ぶんた君。
変身サイボーグ、CITIZEN DIGI-ANA…
そして…一度しか会えなかった父親…
※
メリーゴーラウンドのガードポールに頭をもたせかけて、彼は目を閉じた。
「きみ(幼少期の自分) に言っておきたかっただけなんだよ」と、呟くように、
「今がきみにとって一番すばらしい時だということを、言っておきたかっただけなんだ。今のこの時を、一瞬でも、充分に楽しまなければいけない。いまにメリーゴーラウンドにも乗れなくなる。綿菓子も食べられなくなる
。バンドコンサートも聴けなくなる。ぼくはきみに伝えたかっただけだよ、マーティン、
今が一番すばらしい時なんだとね。今が!この場所が!それだけだ。それを言っておきたかった」
※
過去を振り返ってばかりではいけない事もよく知っているよ、
この物語のように昔が幸せなら、きっとあの日々を振り返る事もないのだろう…
何があった?あの時俺は何をした?
嫌な想い出ばかりだったから、もう一度やり直したい過去もある。
そーじゃなく、これを読む貴方なら、もう一度幸せなあの日に還りたい?
辛い過去から逃げ場の無い自分を、もう一度励ましたい?
どーなんだろ?
※
「ぼくは必死の駆け足で生きてきたんだ。本当は弱い人間なのに、まるで強い人間のようなふりをしてきた。びくびく怯えているくせに、ーーー強い男の役を演じてきた。それが突然、なにもかも嫌になってしまったんだよ
、パパ。ながい間走りつづけてきて、どうしようもなく疲れきってしまった。…」
※
すごく解るよ、心から…
何もかも疲れた、てのは本当よくわかる。
父は未来から来た息子にこう云う…
※
「たぶん、私たちに与えられたチャンスは一度きりだからだろうな。一人の人間にとって
、夏は一度きりしかないのだよ」
父の声には思いやりに満ちた深味があった。
「あの子……私の知っているあの子……いまこの世界にいるあの子。この夏はあの子のものだよ、マーティン。かつて一度、それがきみのものだったようにね」首をふった。
「そこに割りこむようなことをしてはいけない」
(中略)
「そうかもしれない。さようならパパ」
ロバートは数フィート行ってから立ちどまると、マーティンに背を向けたまま佇立していたが、
やがてもう一度こちらに向きなおって、
「さようなら ーーー息子」
※
…父親かあ…-_-b
※ 引用。
マーティンはメリーゴーラウンドのほうに頷いてみせた。
「あれは夏の風物詩ですね。メリーゴーラウンドの音楽、カリオペーの音色」
※
(カリオペ=蒸気オルガン)
これは【ミステリーゾーン】第一シーズン#5
『過去を求めて』('59) の翻訳 (歩いて行ける距離 / ロッド・サーリング著、矢野浩三郎 訳 / 文春文庫) の段落。
※
…彼は静かな声で言った。
「夏に子供であるということほど、素晴らしいことはありませんよ」
※
この物語は、
都会で成功した若きサラリーマンが、毎日に疲れ、何もかも投げ出して…歩いて行ける距離…なのに 20年も帰らなかった故郷へと突然 戻ってみる話…
昔と何ひとつ変わらないその街で、彼を待っていたものは…
※
玄関の階段へ行く途中、足に何か柔らかいものが当たった。野球のグラヴだった。
それを拾い上げ手にはめ、昔やったように、ポケットをぽんぽんとたたいた。そのとき、庭のまんなかに、自転車がスタンドを起こして立ててあるのが目に入った。
ハンドルのついているベルを鳴らしてみた。と、その手をだれかの手が抑えて、ベルの音を消した。目をあげるとロバート・スローンが立っていた。
「またもどってきたな」と、父は言った。
「もどってくるしかなかったんだよ、パパ、ここはぼくの家だから」彼は手にしたグラヴを上にあげてみせた。
「これもぼくのだよ。十一歳の誕生日にパパが買ってくれた」
父の目が細くなった。
「野球のボールもくれたよね」マーティンはつづけた。
「ルー・ゲーリックのサイン入りのやつさ」
※
古き良き時代に郷愁を覚えずにはいられないものだ…
この物語なら、メリーゴーラウンド、カリオペの音色…
俺、高野十座なら…
夏休みが終わったら亡くなってたクラスメイト、
愛し愛された恋人との日々…
ぶんた君。
変身サイボーグ、CITIZEN DIGI-ANA…
そして…一度しか会えなかった父親…
※
メリーゴーラウンドのガードポールに頭をもたせかけて、彼は目を閉じた。
「きみ(幼少期の自分) に言っておきたかっただけなんだよ」と、呟くように、
「今がきみにとって一番すばらしい時だということを、言っておきたかっただけなんだ。今のこの時を、一瞬でも、充分に楽しまなければいけない。いまにメリーゴーラウンドにも乗れなくなる。綿菓子も食べられなくなる
。バンドコンサートも聴けなくなる。ぼくはきみに伝えたかっただけだよ、マーティン、
今が一番すばらしい時なんだとね。今が!この場所が!それだけだ。それを言っておきたかった」
※
過去を振り返ってばかりではいけない事もよく知っているよ、
この物語のように昔が幸せなら、きっとあの日々を振り返る事もないのだろう…
何があった?あの時俺は何をした?
嫌な想い出ばかりだったから、もう一度やり直したい過去もある。
そーじゃなく、これを読む貴方なら、もう一度幸せなあの日に還りたい?
辛い過去から逃げ場の無い自分を、もう一度励ましたい?
どーなんだろ?
※
「ぼくは必死の駆け足で生きてきたんだ。本当は弱い人間なのに、まるで強い人間のようなふりをしてきた。びくびく怯えているくせに、ーーー強い男の役を演じてきた。それが突然、なにもかも嫌になってしまったんだよ
、パパ。ながい間走りつづけてきて、どうしようもなく疲れきってしまった。…」
※
すごく解るよ、心から…
何もかも疲れた、てのは本当よくわかる。
父は未来から来た息子にこう云う…
※
「たぶん、私たちに与えられたチャンスは一度きりだからだろうな。一人の人間にとって
、夏は一度きりしかないのだよ」
父の声には思いやりに満ちた深味があった。
「あの子……私の知っているあの子……いまこの世界にいるあの子。この夏はあの子のものだよ、マーティン。かつて一度、それがきみのものだったようにね」首をふった。
「そこに割りこむようなことをしてはいけない」
(中略)
「そうかもしれない。さようならパパ」
ロバートは数フィート行ってから立ちどまると、マーティンに背を向けたまま佇立していたが、
やがてもう一度こちらに向きなおって、
「さようなら ーーー息子」
※
…父親かあ…-_-b
※ 引用。
コメント
コメント一覧 (1)
頻度の多い割には枚数の少ないジャージ。(⌒-⌒; )
VANSが三着に、NIKEが一着。
あと百円の古着、ジャマイカって背中にプリントの…
これ、襟リブの所 破れとるやんけ、
(ーー;)
ま、いっか、修理すべ。
♪(v^_^)v
高野十座