※「わたくしが完全な無に帰するまで、なにものも、その恐ろしい姿を、わたくしの眼前からのぞき去ることははできません。
真っ白な頭髪、つぶれたように扁平な頭蓋、二つ突きでている尖った耳、桃色に濡れた鼻もまた、猫のそれでした。それも、おどろくほど大きな猫の……それに、その眼! 眼と呼ぶよりは、眼があるはずの位置に、小皿ほどの大きさで、茶色に光るふたつのかたまりがあるのでした。動物か人間か、口のかわりに、毛の生えた長い割れめが、垂直にひび入っていて、そからは黒い管が、ラッパのように先ひろがりの形で、震えながら垂れ下がっているのです。たえず唾液をしたたらせながら……」

最近はやらなくなったけど、一度くらい昼か深夜にTVで観た事ない?
映画『ザ・フライ』('86/米)。

ほら、物質転送装置の開発、実験中に一匹の蠅がポッドに紛れ込んでて、自分を実験台に中に入ってた博士は、徐々に蠅に変わってく
…っていう…

D・クローネンバーグ監督作。
同監督の代表作『ヴィデオドローム』('82) 並のグロさで大ヒットした…

その原作が【蠅】(ジョルジュ・ランジュラン著、稲葉明雄 訳 / ハヤカワ文庫 )。

【蠅】はね、何度か映画化されてて、『ハエ男の恐怖』('58)『ハエ男の逆襲』('59)『ハエ男の呪い』('65)
『ザ・フライ』にも『…2 二世誕生』('89/米)が有るし、こっちはまだたまーに地上波でも見かけるよね、

'58のハエ男はその中でも傑作だと思う。原作では頭の白いだけのハエが、ラストで、博士の顔の付いた頭で助けを請うのには驚愕したよね、トラウマ…(違ってたらゴメン。)

'65版は、WOWOWで初見。珍作なんだろうけどハエ男が出てこんやん!!
(T_T)
逆襲と二世はあまり記憶にない。すまん。
(T_T)

とまあ、そんな感じの高野十座 的【蠅】事情。

こないだ、『ザ・フライ』の吹き替えをレンタルBD版で見つけて、そー言ゃあ原作って有んのかなあ?って…

俺のは、S60年版。
読んでびっくり、短編なれどおぞましい傑作でした。

文庫で10篇のアンソロジー編まれてる内の表題作にして、ランジュランの代表作。

価格もそんなにしないから見付けたら必読。

【蠅】だけどあまりブンブン飛んでは無いから、読みたい観たいって事なら、そこそこ運と努力は要るね、

何故?ランジュランは題材にハエを選んだんだろう?
身近で、慣れてて、うっとおしいくて不潔感
、があるからなのか?

それはある意味、生理的に受け付けない人に近い、って意味でのチョイス?

ストーカーなんかがイメージ近い?

あと、どーしても嫌で別れた元恋人とか、平気で裏切る、以前は友達、仲間のふりしてた連中とか…

決別した相手だと、後々も好い印象ってほとんど持たないからね、
想い出は美し過ぎて、なんてよっぽどの事だよ、
消したい過去、が正解でしょ。

…新聞丸めて、パン!!ってぶっ潰すには
、丁度ストレスも発散するサイズだし…

だから【蠅】だったんかな?

誰にも一人や二人、森高千里の「ハエ男」の中の登場人物みたいな、"蠅" 呼ばわりする相手居るんじゃない?

因みに冒頭の、【蠅】本文のハエ男の描写から頭に浮かんだのは

仮面ライダーの怪人、『クモライオン』。

『テレビバエ』じゃない…
(−_−#)

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※本文より引用。