やっと読む事ができた、
『ずっとお城で暮らしてる』(創元推理文庫/'07)。

なかなか 読むだけならお高かったので、手を出さずにいたんだけど、

このver.、あったんだ。知らなかった。市田 泉=訳。

『くじ』や『たたり』で有名な (知ってる?)、"シャーリイ・ジャクスン"著。

人間の心の中身を、
悪意と、憎悪で文章に満たした、醜くも おぞましい、そして 儚い小説。

主人公の語り手は18歳の【メリキャット】。
「あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている…。」

評判通り、と言えばそうだし、期待外れかとも思えるし…

でも、面白いか、と言えば面白かった。それも絶対に。

あらすじ はこう…

※「そのお屋敷では数年前に、メリキャットの両親、弟、そして伯母がブラックベリーにかけた砒素入り砂糖で毒殺される怪事件が起こっている。

そのときメリキャットは父にお仕置きされて部屋に追いやられており、料理をしたのは姉のコンスタンスだった。

コンスタンスは金髪碧眼の美女だが、事件で家族殺しの犯人扱いされて以来、お屋敷から出ることができずにいる。」※

怖いのは、自分の愛する物や人と、月の上でなら 永遠に幸せに暮らせると信じる、メリキャットの無垢で邪悪な無邪気さ。

それを実現するためなら全てが正しいのだから。彼女にとって。

週二回の、村への買い出しはメリキャットの仕事、だってコンスタンスは外へは出られないから。

村を歩けば、村人達から好奇と悪意の入り交じった歓待を受けることになるメリキャット。

「メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん

とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット」

村の子供達が囃し立てる。※あたしは立ち止まって母親を眺め、生気のないどんよりした目をのぞきこんだ。話しかけてはいけないとわかっていたけど、話しかけてしまうこともわかっていた。

「やめさせてくれませんか」※

メリキャットは自分の理想の為なら何よりも強くなれる。だってコニーとジュリアン叔父さんと、ジョナス(猫) を守らなきゃならないから。

※自分の殻にとじこもっていても、子供の視線は感じられた。殻の中のうんと深いところに隠れているのに、子供たちの声は聞こえるし、目の端でまだ姿も見える。

みんな死んで地面に転がっていればいいのに。※

経験あるでしょ?どっちの側も。

読み終わったあとに感じたのは、何となくのハッピーエンド?

こんなにも悪意に満ちた…メリキャットと村人達の物語なのに…

それはきっと、自分にも身に覚えのある、そんな日常が描かれているから?

※かつて見て見ぬふりをした弱者に、突然目の前に立たれて、
耳元で「わたしのことが嫌いなのね?あなたはいつだって目をそらしていた」※

とそう言われた時の気分だろ?

俺には充分すぎるほど分かるよ、そんな奴ばかり見てきたから。


傍観者は共犯者…

悪意に満ちたその眼で、

誰かの陰に隠れ、小さな隙間から覗いてる…


それも毎日…




(今回は 夏仕様、ホラー仕立てでお贈りいたしました。あ〜怖い。生きた人間が一番怖い。)(ノ◇≦。)

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※「」※ 、創元推理文庫、【ずっとお城で暮らしてる】シャーリイ・ジャクスン著、市田 泉=訳、より引用。