「カンタ君は色が焦げとーけ(色黒だから)…」…

昨日知り合った畠山先生の面白発言…

うちの弟は、"びったらふーたらぬるい"、俺は"長男の甚六"…
意味は不鮮明だけど、きっと的を得ての人物評なのだろう…

…今日の夜…ふと見ると…
…実家のビデオ横に、何やらテープが2本…

なんのビデオ…?と、再生…

そのVのタイトルは…『今、教室で』…
【RkB ドキュメンタリー 1981年(S55年)】…

再生してみる…
あれ?これって昨日のLog.の先生?
随分若い頃?

そうだよね!!昨日意気投合した"畠山先生"!!に間違いない!!

へぇー…
あの人もしかして、有名な先生だったの…?

今から30年前の授業風景…
生徒達は手を上げずに"自由発言"(というらしい…)で、次々と発言していく…

教材は…
『おらたちにゃ 口はねえだに』作・松谷みよ子

早口の生徒が発言…
「何て言うたかわからんのよね…」と先生…

すると…"ゆっくりー!!"と他の生徒達が一斉に声をあげる…

一人の生徒がだらけた態度でいる…
「ヒデキさんに聞きたいんやけどね、アンタ何しようとその状況…勉強しないなら出て行き…」…

クラスから退出せよ、と促す…
「…する人だけで勉強するんやき…そんな人が一人でもおったら私、勉強しきらんとよ、悪いけんど…
出て行って…」

「いや…」と件の生徒、
「いかんとか言わんで出て行っちゃり…」…

「先生、あたしも気が付いたら注意するき…」と隣の生徒が発言する…

「いいかげんに、なんなさんなばいアンタ達…本気なんね…!」

すると…一人の男子生徒…
「男子はね、僕がちゃんとする、する」…

そして周囲の生徒…「そう!」

じっと生徒達のその自主的発言を聞く畠山先生…

「"も"、と、"が"、の使い方をはっきりしなさい。
貴方たちが勉強するんですか、貴方たちも勉強するんですか?!」…

各々発言する生徒達…見渡す先生…

「…主語はなんね?」…

…考える生徒達…

「ぬるいねぇ〜」…「僕たち(男子)」「私たち(女子)」…
「でしょ?」…「ハイ!」…

「私たち"も"勉強する、僕たち"も"勉強するんやないんよ…
僕たち"が"せなつまらんとよ、私たち"が"せなつまらんとやないんね?」

「そう!」と、生徒たち…

そして…「さっきぼけーっとしとった人立ちなさい…」…
「目をさましなさい!」と一人二人頭を小突く…

「何であたしが皆のせんといかんとよ、自分でし、自分で…」…

クラスメイトが互いに頭を小突きあう…

「はい!今、スッとしましたか!(声を張り)…はぁ〜ほんと、はがいいねぇ…ほんと(小声)…」

クラスメイトは互いを助け合い、自主的に発言し、自分が!勉強をする…

へぇ〜何?この授業…6年2組、畠山学級…

終業ベルが鳴っても誰一人席を立つでなく、先生の発言から耳をそらさない…

す、すごいな…

このクラスメイト達、絶対にこの先生の授業、忘れてないだろうな…

【学級内で起こる暴力問題 約束ごとの無視 そして学力の低下
それが学級開き当初 五年生になったばかりの彼らの姿でした。

それから一年半
自主的に発言し合うようになるまで
児童たちは辛いことにもよく耐えてくれました。】

ー畠山教諭の手記より

あの先生、こんな先生だったの?

ある授業では…
「…今その、士農工商ってありますか?って聞きよんよ…」…

「ない…」「何がある?」…「差別…」…

「このクラスの中に、差別はないですか?」…
「…まず、自分の足下を見なさい!差別とはそーいうとこにあると、先生は言ったと思うよね…」

「ハイ」「ハイ…」「ハイ…」「ハイ…」…生徒たち…

なんか、この先生って…
昨日、随分ステキな方だな、って思ったけど…

子供たちの目が、なんだかキラキラしだす…

壁には、運動会の時に生徒が作った応援団の旗…
そこには"きつい" の文字…

「一生懸命したあとはきついですよ、そのきついのは、何とも言えないんですよね、
それは…経験者でないと、わからない…(優しい)…

あの時の気持ち、それが、勉強に生きるわけですよ…」

"きつい"、は、逃げ出さないための、生徒たちの合い言葉なんだそう…

また明日あの先生にぶつかってみたくなった…

「…きついんだけれども…
きつくって良いんじゃない人間なら…

それを通り越すから良いんじゃないですかね…」…

…ナレーションもインタビューもなく、ただ淡々と授業風景を追うだけのドキュメント映像…

演出がない分、それはリアルだ…

本当かよ?と思う程…

これは、えらいことになった…
俺、知らないからって、随分な口きいたかも…
(T ^ T)…

でもただ、一つ本当な事がある、
俺は初対面だったあの先生が、凄く好きだと言うこと…

そうだ!明日先生に、最新の生徒にしてくれとお願いしてみよう…
…断られたりして…
(T ^ T)…

…畠山先生は、黒板には授業を書かない…
黒板に貼った紙に、生徒達の発言を残していく…

その紙は、生徒達自らの手で壁に貼られ、その授業はいつまでも残る…
…なる程…

授業は、消さない…
そーいう事か…

だからきっと、この畠山先生の授業も…
生徒達の心から、消された事はないだろーな…

出逢えてよかった…
こんな先生に…


※昭和56年 日本民間放送連盟賞
テレビ教養番組部門 優秀賞受賞
『今、教室で』より…