サティ前の地獄坂を上る…
俺の前には2人のガキんちょ…強風で雨の中、2人で一つの傘をさしてる、小3と、幼稚園くらい?たぶん兄妹…
サティ前の坂は、車道に申し訳程度に歩道があるだけだから結構危ない…
バカが運転してて、子供が跳ねられでもしたらひとたまりもない…

2人連れのガキんちょ…やんなよやんなよーと思ってっと、いきなし2人で戯れ(じゃれ)あいだす…
危ないやろー!ハラハラしながら見てたら、乗用車がブーッとすぐ脇を通り過ぎる…
冷やーっとする俺!知らん顔のガキ2人…

まだ戯れあう感じで危ないから、一応大人としては声をかける…
「危ないよー…」分かってたけど、案の定無視られる…
まだ知らんぷり…止める気配がないから…俺もつい語気を荒げて…
「おい、聞いてっか?ロン毛の少年…」と声をかける…やっぱり無視られ苛つく俺…
しまいにゃ…「おい!ちゃんと聞け、少年!」と2人を呼び止める…

そこでやっと少年、ハイ…と振り返る…
「人の話をちゃんと聞け!」と俺…少年は一応、素直な素振り…
「危ないから、この道ではみ出したりして戯れあったりしたらダメだ…」と注意を促す…一応素直に聞いてる風の少年…腹の中は何考えてるかわかんないけど…
「わかった?」と俺…「ハイ…」と少年…
「分かったなら、風が強いから気を付けていきなさい…」…
一応返事はするけど、やっぱどっか上の空…この子達は大人を舐めてる…

ま、所詮、知らん家の子だし、関わる必要ないわな、とか無関心な自分に戻りかけたその瞬間!2人のガキんちょのさしてた傘、バッサーン!
折からの強風と、強雨にあおられ、裏返る裏返る…

見事なまでにひっくり返った傘、骨があらぬ方向にひん曲がってる…
雨も風も強いから、あらあら…いいながら、「ちょっとこっち来な…」と、近くの美容室の、雨風来ない超狭い軒先に2人を誘導…
俺は、暴風にさらされながら、2人のひっくり返った傘の骨を、出来るだけ真っ直ぐに修正…

そん時初めてだな、兄妹のロン毛の、きっと兄の方の少年の顔が真剣になったの…
仕方ないからさ、自分の傘を地面に置いて(多分、車道にすげーはみ出して)暴風雨のなか傘修理…お蔭でTシャツと髪、ビッタビタ…

もしあん時、美容室の兄ちゃんか、車乗ってるやつが何か一言でも言おうもんなら…久々、ぶち切れまくっただろーな…
兄妹はじっとその姿を眺めてた…
「な、信じないかもしんないだろうけど、神様って近くに居て、ちゃんと見てるぞ…」あんな事して車に跳ねられて、どっちか死んでたかもしんないぞ…と俺…

すると初めて、兄妹の妹の方も「ハイ…」凄く小さい声で返事…
きっと伝わったかな、と後は…「風が強いから気をつけて行きなさい…」と俺…
「ハイ…」と子供たち…

昔さ、バンドの機材車で移動の最中、通学路をのろのろ行ってたら、小一くらいの少年がいきなり飛び出して、両手広げ仁王立ち、
よくいる、お調子者タイプの、女子の前でついカッコつけちゃうやつ…

でさ、運転手…そんな時くらい、普通注意するよね、危ないとかなんとか…
したらさ、その運転手、なんか妙にオドオド、助手席の俺が「こんな時くらい注意しろよ…」つったくらい、ヘラヘラ〜ヘラヘラ〜…だってさ、いっぺん死ねば?
そんな、ガキんちょ一人注意出来ない大人っていったい何?…

そしてそれから…別に大した事してない筈だけど…俺は俺でいただけ、だけど…
…雨上がりの夕焼け後には…凄く大きな"虹"が…
何だか、さっきの俺を見てた神様に、すげーご褒美いただいた様な気がした…

無意識の内に傍観者なんて…結局共犯者だもの…
雨は降るけど、その後には、何処までも"虹"はかかる…だよね…

なんか、良い事ありそう…かな…